PED(PELD)とはPercutaneous Endoscopic Discectomyの略で、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の手術方法のひとつです。内視鏡を使ったPED(PELD)の手術は、従来の開腹手術に比べると、患者さんに対する負担が格段に違います。
PED(PELD)手術はうつ伏せ、あるいは横向けで行います。局部麻酔を行い、6〜8mm程皮膚を切開し、切開した小さな穴にチューブを設置し内視鏡や専用手術器具を挿入します。TVモニターを見ながら、手順に従ってヘルニア等を取り除きます。
PEDと同じく内視鏡を使ったヘルニア摘出術としてMED”Micro Endoscopic Discectomy”(内視鏡下椎間板摘出術)と呼ばれる術式があります。
PEDとMEDは内視鏡を用いる点、保険が適用されるという点で共通しますが、PED(PELD)法は、MED法よりも筋肉を剥がす事が少なく、傷口はわずか6〜8㎜ですみ、入院期間は1泊2日、場合によっては日帰り手術も可能です。PEDは一刻も早い社会復帰を望まれる方に適した治療法といえます。
右記の傷は右側がPEDインタラミナ(MEDの半分)。左側がMEDトランスフォラミナです。
椎間板の横から入り、椎間板側からヘルニアを取り除きます。局所麻酔、硬膜外麻酔でも可能です。また、生理食塩水で還流する為に無血野での手術が可能です。局所麻酔での手術が可能か否かや入院日数などでも違いがあります。
背部から入り、骨を少し削り、ヘルニアを摘出します。傷口は約16㎜、入院期間は2〜4日程度です。血液を吸引しながら行い、従来の顕微鏡下椎間板ヘルニア摘出術に近い手術です。
術式 | PED | MED |
麻酔 | 局部麻酔 | 全身麻酔 |
入院日数 | 1〜3泊 | 1週間 |
保険適用 | 有り | 有り |
有効率 | ≒90% | >90% |
創 | 6~8mm | 18~20mm |
MED法と同じように 背中側から垂直に進入します。
好発部位がL5/S1,L4/5 の場合は、インターラミナル法で手術を行います。
背側から椎弓と椎間関節の内側部を展開する。
黄色靭帯の一部を切除し神経根を内側に展開。椎間板ヘルニアを切除する。
椎間板ヘルニアを切除すると硬膜管神経根が緩んだことを確認できる。ドレーンを留置して手術を終了する。
腰の側方から進入します。椎間孔と呼ばれる神経根が分かれて脊柱管から出ていく孔は若干余裕があり神経根を傷つけずに椎間板に到達が可能となりました。これは2mmというレンズの開発にはじまる光学技術革新の賜物です。
L1/2,L2/3,L3/4の場合は トランスフォラミナ法で手術を行います。
内視鏡の進入路を椎間孔(神経根の通路)を広くする。
ダイアモンドバー(ドリル)で関節突起の一部を切除すると椎間孔から余裕をもって脊柱管内にカメラが入る。
カニューラの先端を尾側に向けて椎間板ヘルニアと馬尾神経の間(後縦靭帯の腹側)にカメラを挿入する。
鉗子などの特殊な道具を用いて椎間板ヘルニアを切除する。
1.局所麻酔で行うため麻酔によるリスクがかなり低いです。
2.局所麻酔であっても、麻酔科医が、鎮静、鎮痛、 安全のための専門的な管理を行います。
3.切開部が小さい。(約 6mm)、抜糸不要。
4.レーザー治療と違い、椎間板ヘルニア組織、および神経組織を直接見ているため、
確実な治療が可能です。(安全・確実)
5.術後5時間後より歩行開始、早ければ当日退院が可能です。(ただし無理は禁物)
6.傷痕が目立ちません。
7.術後の痛みが軽く、回復も早く、感染の危険性が少なく、呼吸器系の合併症も少ないです。
8.通常の内視鏡下手術よりも低侵襲です。
低侵襲とは患者さんのお身体への負担が少ない治療のことを言います。
入院していただき術前の準備をします。
※ 飲食は夕食まで摂取可能です。
※ 飲水は夜 9 時迄可能です。
注射・点滴などの事前準備を行いその後手術室へ移動します。 手術を行い病室へ戻ります。
※ 飲食・飲水はお腹が動くまで不可。立ち上がったり、歩行は可能です。
食事時間や1時間以内の勤務時間であれば立ったり、座ったり、正しい姿勢なら步いてもかまいません。
低い姿勢をとる時は、腰を曲げずに、膝を使ってかがむようにします。体をねじる動作は控えてください。
腰の運動をする時は立ったり座ったりしたままで行わないようにします。
手術創を消毒する必要はなく、絆創膏は 7 日後にがします。 歩いたり、立ったり、
動く時にはコルセットを着用しますが、家で橫になって寝る時は着用しなくてもかまいません。
学校や職場にも行けますが、1 時間ごとに必ず立って腰を伸ばし、まっすぐに立って步いてから、また座るようにします。
1 週目と同樣、腰をねじったり、かがむ姿勢は避けて下さい。入浴は可能です。
1 時間以内であれば自分で車を運転してもかまいません。
きつすぎない労働、事務や家事、勉強などは正常に行えます。
重労働も可能です。 術後の椎間板の状態を確認するため、レントゲン撮影検査、MRI 検査を行います。
受診していただき、腰の診察を行います。その後は、何か問題あれば、随時、診察を受けることが可能です。
■ 局所麻酔薬に対するアレルギー症状が出ることがあります。
■ 腹這いになって手術を受けます。
患者様はうつ伏せの状態で手術を受けます。胸部、鼠径部の皮膚損傷、外側大腿皮神経麻痺などを生ずることがあります。
■ 手術自体による合併症:硬膜損傷、髄液漏、神経損傷、血腫、感染などの危険性はゼロではありません。
術後硬膜外水腫のため、まれに頭痛が起きることがあります。
術式 | PED | MED |
入院日数 | 1〜3泊 | 1週間 |
入院・手術日(3割負担) | ¥200,000〜¥250,000 | ¥250,000〜¥300,000 |
基本的には腰椎椎間板のどの部分でも適応可能ですが、ヘルニアが下に大きくはみ出したものなどは手術ができない場合もあります。そのほかにも「ヘルニアのサイズがとても大きい」、「上下方向への伸展が多い」、「椎間板高が低下している」方は手術ができない可能性がございます。
また、局所麻酔で手術を行うと神経周囲に近くなった場合に痛みが出ることがありますので、痛みにすごく弱い方は手術が困難な場合もあります。以上の理由などで50 人に 1 人位の割合でこの手術ができない場合があるといわれています。
PEDは、年々進化している手術法です。2003年の導入当初に比べると、使用するスコープの精度も格段に高まり、ここ数年は、安定した成績が出るようになってきました。このスコープに関しては、私自身、ドイツの手術機器メーカーと共同開発を行っており、これからもどんどんよいものが出てくるでしょう。
また、PEDに特化した治療をしたい、と賛同してくれる医師も増えています。PEDは、非常に高い技術が必要で、誰でもすぐにできるような手術ではありません。専門を複数取得し、300件以上の脊髄の手術実績があるベテラン医師が、さらに学び、訓練して、ようやくできるようになる術式ですが、それでも「やりたい」という強い意欲を持つ医師が増えているのは、とても嬉しいことです。
2013年には、日本におけるPEDの普及と進歩を目標とする『日本PED(ペド)研究会』を設立しました。現在、高い向上心を持った医師たちとともに、専門医の手技の確立、技術向上のための活発な活動を行っています。
当院でPED手術を希望される患者様は、必ず最寄りのかかりつけ医の紹介状、当院医療連携室での受診予約をおとりの上、受診してください。上記手術は、高度な専門的技術を必要とする手術方法です。
本手術の適応条件に合致した患者様であるかどうか、あるいは手術が本当に必要な状態であるかどうかを診察および検査を行った上で、厳密に決定しています。腰椎椎間板ヘルニアの手術は、そのほとんどが相対的手術適応(手術が絶対必要な状況ではなく、患者様の状況に応じて、手術するかどうかを慎重に吟味すべき状況)です。
手術の決定までには、一定期間、当院への通院を要することもあります。また、手術後、退院されました後も、当院への通院が可能な方にのみ、当院での施術を行っています。以上を御理解の上、受診されますようお願い申し上げます。
PEDは、どの医療機関でも手軽にできる手術ではありません。その理由は、まだ日本に入ってきて日が浅いこと、そしてもうひとつは、非常に難しい手術なので、スキルの取得に時間がかかるということです。
具体的に言えば、国内で安心してPEDを受けることができる施設は、現在10もないでしょう。専門医の数も限られます。そのためPEDを受けることができる病院の予約はいっぱいで、手術まで数年待ちということが少なくありません。さらに、最近では、PEDがテレビ等で紹介されると、私の勤務先の病院に、問い合わせが殺到するようになりました。大学や大きな病院は、もともと患者さんの数が多いので、なおさら予約が取りづらくなってしまいます。
椎間板ヘルニアは、ひどい痛みを伴うため、手術まで気長に何年も待てるような疾患ではありません。正しい診断が下り、手術適応と判断されたら、できるだけ早く手術をして治したい。何とかしてそれが可能な環境づくりができないものかと、思っていました。
私はこれまで15年以上、PEDを行ってきました。複数の病院で手術を行い、手術件数は年間350を超えています。そうした実績とスキルを活かし、自分の専門病院を開けば、患者さんをあまりお待たせすることなく、スムーズな手術が可能になるのではないか。「出沢 明 PEDクリニック」は、そんな想いから生まれた、PED専門のクリニックです。
昨今、東京都や神奈川県では新型コロナウイルス(COVID-19)の院内感染が報告されています。また、新型コロナウイルスは、飛沫感染と接触感染がおきる可能性がある診察室やリハビリ室、待合室では、感染リスクを最小限にするための努力を致します。「知らない間に誰かを感染させていた」ということが起こらないように皆様にもご協力頂きたいと思いますので、宜しくお願い致します。
上記1つでも該当する方は当日受診・リハビリをご遠慮頂き、専門医やかかりつけ医を受診して下さい。その後2週間受診・リハビリをご遠慮頂き、症状改善されている場合、2週間経過以降受診・リハビリを再開させて頂きます。
病院に来院される前に自覚症状のある方は、予め受診・リハビリのキャンセルをして下さい。電話でキャンセルされる場合、電話回線の混雑から繋がりにくい場合があります。その場合、恐れ入りますが後日お掛け直しをお願い致します。
付き添いは1人までとさせて頂きます。付き添いの方も検温等の体調管理やマスク着用、手指消毒を徹底して下さい。
毎朝検温等の体調管理を徹底致します。