脊柱管狭窄症による間歇跛行(数十m歩くと腰痛や脚のしびれ等で休息したくなる)や、臀部・坐骨神経痛等が強い場合で手術対象部位が1カ所のみの場合には、経皮的内視鏡下脊柱管拡大術PELが行われます。
PEL法は骨性の狭窄症(椎間関節の肥厚などによる狭窄)ではなく、靭帯の肥厚のみで狭窄が起こっている場合に適応されます。PELDと同じ細い内視鏡を使用し8mm切開で、硬膜外麻酔もしくは全身麻酔下に1~2泊の入院で手術ができます。
出沢明のPEL手術は200例を超え安定した成績(90%程度有効)を示しています。2カ所以上の場合にはMEL法が適応となります。
片側の椎弓をダイアモンドバーで切除する。ケリソンロンジュールで黄色靭帯を切除する。
侵入側の上関節突起内側を切除して神経根の圧排を緩める。
対側の上関節突起内側をケリソンロンジュールで切除する。黄色靭帯をD kerrison rongeurで切除する。
硬膜管は広がることを確認する。
1.傷口が非常に小さく傷跡がほとんど残らない
2.痛みが少なく、回復が早い
3.筋肉へのダメージが最小限ですみ、手術時の出血量も少ない
4.入院日数は大幅に短縮 され、日常生活や仕事への早期復帰が可能
5.全身麻酔ではなく、局部麻酔での手術が可能
6. 通常の内視鏡下手術よりも低侵襲です。
低侵襲とは患者さんのお身体への負担が少ない治療のことを言います。
入院していただき術前の準備をします。
※ 飲食は夕食まで摂取可能です。
※ 飲水は夜 9 時迄可能です。
注射・点滴などの事前準備を行いその後手術室へ移動します。 手術を行い病室へ戻ります。
※ 飲食・飲水はお腹が動くまで不可。立ち上がったり、歩行は可能です。
食事時間や1時間以内の勤務時間であれば立ったり、座ったり、正しい姿勢なら步いてもかまいません。
低い姿勢をとる時は、腰を曲げずに、膝を使ってかがむようにします。体をねじる動作は控えてください。
腰の運動をする時は立ったり座ったりしたままで行わないようにします。
手術創を消毒する必要はなく、絆創膏は 7 日後にがします。 歩いたり、立ったり、
動く時にはコルセットを着用しますが、家で橫になって寝る時は着用しなくてもかまいません。
学校や職場にも行けますが、1 時間ごとに必ず立って腰を伸ばし、まっすぐに立って步いてから、また座るようにします。
1 週目と同樣、腰をねじったり、かがむ姿勢は避けて下さい。入浴は可能です。
1 時間以内であれば自分で車を運転してもかまいません。
きつすぎない労働、事務や家事、勉強などは正常に行えます。
重労働も可能です。 術後の椎間板の状態を確認するため、レントゲン撮影検査、MRI 検査を行います。
受診していただき、腰の診察を行います。その後は、何か問題あれば、随時、診察を受けることが可能です。
■ 神経損傷による下肢麻痺、下肢知覚鈍麻、排尿排便障害
これらの神経損傷は、腰椎を高速回転のドリルで削除する際に生じる可能性があるとされています。
■ 神経を包んでいる膜(硬膜)の損傷による脊髄液の漏出、およびこれに引き続き生じる髄膜炎
■ 創部の血腫形成による神経麻痺・下肢痛
■ その他の稀な合併症として深部静脈血栓症、肺炎などの感染症などが生じることがあります。
PEL法は骨性の狭窄症(椎間関節の肥厚などによる狭窄)ではなく、靭帯の肥厚のみで狭窄が起こっている場合に適応されます。
その為、椎間関節の肥厚などによる狭窄が起こっている場合は手術が不可能な場合がございます。
また、検査を行ったとしても、すぐに手術をするわけではありません。保存療法によって脊柱管狭窄症の症状は緩和することもあるからです。おおよそ保存療法は3か月から6か月を一定の治療期間として考えます。保存療法を続けていても効果が見られないとき、または以下のような緊急性が高い場合は手術を提案します。
・安静時にもしびれや痛みが強くなる
・筋力の低下が起きて以前のように動けない
・間欠跛行の悪化による歩行障害
・膀胱や腸に障害が起きていて生活に支障がある
以上のような状態になっても、やはり手術が怖いと思われる患者様もいらっしゃいます。また、症状が重症化していなくても、テニスやゴルフなどのスポーツを存分に行いたいから手術を望まれる方もいらっしゃいました。だからこそ、こちらから一方的に治療法を押しつけるのではなく、その人のお仕事やライフスタイルに合わせて、しっかりと医学的根拠に基づいた治療のみを提案します。患者様にとって何が一番重要なのかを話し合うことを大切です。
当院でPEL手術を希望される患者様は、必ず最寄りのかかりつけ医の紹介状、当院医療連携室での受診予約をおとりの上、受診してください。上記手術は、高度な専門的技術を必要とする手術方法です。
本手術の適応条件に合致した患者様であるかどうか、あるいは手術が本当に必要な状態であるかどうかを診察および検査を行った上で、厳密に決定しています。腰部脊柱狭窄症の手術は、そのほとんどが相対的手術適応(手術が絶対必要な状況ではなく、患者様の状況に応じて、手術するかどうかを慎重に吟味すべき状況)です。
手術の決定までには、一定期間、当院への通院を要することもあります。また、手術後、退院されました後も、当院への通院が可能な方にのみ、当院での施術を行っています。以上を御理解の上、受診されますようお願い申し上げます。
現在スタンダードに行われている手術は、大部分が低侵襲のものとなっています。そのため、手術翌日や二日後から歩けるようになる方もいらっしゃいます。もちろん、個人差もあり、必ずしも断言はできません。それでも、以前よりは腰部脊柱管狭窄症の手術は非常に快適になったのは確かです。
早い段階からシャワーも可能なので、動ける方は少しずつリハビリテーションを頑張っていただいております。実際に、少しずつ身体を動かしたほうが、術後の経過も良好なのもわかってきました。社会復帰に関しては、患者様のライフスタイルやお仕事との兼ね合いを見て、慎重に検討します。
昨今、東京都や神奈川県では新型コロナウイルス(COVID-19)の院内感染が報告されています。また、新型コロナウイルスは、飛沫感染と接触感染がおきる可能性がある診察室やリハビリ室、待合室では、感染リスクを最小限にするための努力を致します。「知らない間に誰かを感染させていた」ということが起こらないように皆様にもご協力頂きたいと思いますので、宜しくお願い致します。
上記1つでも該当する方は当日受診・リハビリをご遠慮頂き、専門医やかかりつけ医を受診して下さい。その後2週間受診・リハビリをご遠慮頂き、症状改善されている場合、2週間経過以降受診・リハビリを再開させて頂きます。
病院に来院される前に自覚症状のある方は、予め受診・リハビリのキャンセルをして下さい。電話でキャンセルされる場合、電話回線の混雑から繋がりにくい場合があります。その場合、恐れ入りますが後日お掛け直しをお願い致します。
付き添いは1人までとさせて頂きます。付き添いの方も検温等の体調管理やマスク着用、手指消毒を徹底して下さい。
毎朝検温等の体調管理を徹底致します。